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仕事で使える!独断と偏見による映像編集向けおすすめヘッドフォン


現在、ビデオサロン(玄光社)にて「音響ワークショップ」を連載させていただいてますが、みなさん読んでいただけてますでしょうか?同連載の第3回(2018年6月号掲載)ではモニター環境について書きましたが、基準となるフラットな音の重要性とスピーカーセッティングについてが主で、ヘッドフォンについては諸事情により省略してしまってました。ヘッドフォンはスピーカーのように部屋の反射の影響を受けないので、どこでも同じ音で作業できるというメリットがあるし、シェアオフィスなど音の出せない環境で仕事している方も多いと思うので、実は映像編集作業時にはヘッドフォンの方が使いやすいかもしれません。というわけで、補足という意味合いも兼ねて、今回は僕の独断と偏見でチョイスした映像制作で使えるオススメのヘッドフォンをいくつかご紹介します!(というか、自分の買い替え用の備忘録と言えなくもないw)

 

オススメのヘッドフォン

※画像/モデル名クリックで製品ページへジャンプします

audio-technica ATH-M40x(実売12,000円前後)

コストパフォーマンスが抜群に良いですね。密閉型で遮音性も十分。ケーブルもストレートとカールが付属しているので、好みや現場での取り回しで付け替えられるのも魅力です。音は割と周波数バランスが良く、個人的には上位機種よりも好みなくらい。適度にドンシャリ気味なので、音楽も気持ちよく聴けます。中域は少し大人しく解像度も並ですが、必要にして十分。保守部品も手に入りやすいので、気兼ねなくガンガン使っていけそうですね。制作会社なら複数買ってもいいかも。クオリティ的に最低でもこれくらいのものを選んでおけば間違いないと思いますよ。

 

FOSTEX T50RPmk3g(実売19,000円前後)

ドライバーに平面振動板を採用したシリーズの最新型。出音については、トランジェント特性(※)が抜群に良く、それゆえに解像度も高いです。周波数バランスはM40xよりももう少しだけドンシャリ気味ですが、低域は切れが良くタイト。音質、価格、デザインのバランスが絶妙で、僕のお気に入りヘッドフォンのひとつですね。基本的にスタジオ用なのでインピーダンスが高め。パワーのあるヘッドフォンアンプじゃないと鳴らしきれないので、ミラーレス機に直挿しとかだとキツイかも…。あと、やや大ぶりで折りたたみができないので、可搬性は少し難あり。構造も半密閉型なので、撮影現場よりは、やはり編集向けですね。

 

数々の名録音を生み出してきたビクタースタジオにあるGENELECのラージモニタースピーカーをリファレンスとして開発され、同スタジオでも実際に使われている正真正銘のスタジオモニターヘッドフォン。前身となったHA-MX10(現行品で僕も愛用中。当ページトップ写真参照)の気になってたところ(低域の軽さ)が改善されてますね。周波数バランスはフラット傾向なんですが、やや中域が張り出した感じで左右への広がりは控えめ。この特徴はHA-MX10も同様なんですが、とにかく声の聴き取りやすさが抜群に良くて、ナレーションやダイアログの音決めのときに迷わず作業できます。密閉型で遮音性もそれなりにあるし、重量も軽いので撮影現場でも使えそう。そういう意味ではビデオグラファーにもっともオススメできるヘッドフォンかもしれません。

 

SENNHEISER HD25-1 II(実売18,000円前後)

撮影現場で録音部さんが使ってる定番機種だと思います。もともとはDJユースが想定された製品で、ハウジングが小さく頑丈なうえ、遮音性もとても高いので今回紹介しているものの中ではもっとも現場向きかもしれません。ただ、その点が災いして耳たぶが圧迫されて痛くなったりするので、長時間の使用には注意が必要です。音はDJユースらしく低音がしっかりと出るキャラクターですが、高域はやや控えめ。昔は「結構いい音だな」と思ったものですが、いまの基準からするとレンジの狭さは否めません。ただ、声にとって大切な中域もしっかりしてるので、やはり現場重視の人にオススメしたいモデル。ケーブルが右出しなので、一般的な左出しのつもりで装着すると左右が逆になるので要注意です。

 

群馬県高崎市にあるレコーディングスタジオ「TAGO STUDIO」が地元の製造業者と共同開発した逸品。ものすごくこだわった造りで、まさにMADE IN JAPANを誇れるものですね。周波数バランス、解像度ともに大変素晴らしく、聴くたびに欲しくなってしまいます(笑)とにかく細かい音が手に取るように聴こえるのでびっくりしますよ。個人的な好みからすると、今回の中では最も信頼できる音ですね開放型のような余裕や広がり感が欲しい人はオススメしにくいですが、密閉型で10万以上するようなものを買うなら断然こっち買った方が良いと思います。ただし、撮影現場での使用を考えると、その価格や美しい外装を気にして躊躇しちゃうかもしれませんね(苦笑)そういう意味では編集向きかも。ヘッドフォンを消耗品と考えると高価ですが、1台良いものが欲しいという人は買って損はないですよ。

 

SENNHEISER HD 660 S(実売53,000円前後)

オープンエアー(開放型)ダイナミック型の完成形とも言われた前モデルHD650を現代風にブラッシュアップした最新型。HD650はフラット基調だけど適度に温かく、ふっくらとした豊かな鳴りで開放型のリファレンスになるのも頷ける音でしたが、こちらはよりワイドレンジになり、クリアさと横への広がりが増した印象。ハイレゾを意識しているのでしょう。開放型なので遮音性は皆無。なので完全に編集向けですね。インピーダンスも前モデルよりも低く設定されているので、民生機でも鳴らしやすいと思います。気持ちよく聴けるヘッドフォンなので、音楽聴くのが趣味の人も満足できるでしょう。

※瞬間的な音の立ち上がりと、その収束の時間的特性のこと。それぞれが早いと、音のアタック感が正確に再現され、分離感も増す。乱暴な言い方をすれば「キレッキレな音」と言ってもいいかもしれない(笑)

以上です。映像編集向けとは言いましたが、もちろん音楽制作にも適してますよ!あと、モニターヘッドフォンの定番機種SONY MDR-CD900STは今回除外しました。日本国内における業務用モニターヘッドフォンとしては圧倒的な普及率ですが、何でもこれ1台で済ませられるような音ではないし、端子が標準フォーンだからミニフォーン出力が多いミラーレス機などには使いにくいので(変換プラグは大きいので、引っ掛けると端子を破損する恐れがあります)。ただ、音のプロを目指すような人であれば、この音を知っておいて損はないと思います。

他にも良いヘッドフォンはいろいろあります。SHUREとかYAMAHAとかAKGとかbeyerdynamicとか。気になる人はいろいろと聴き比べてみてください♪

 

MAに出すまでもないような案件、またはMAに出す予算のない案件など、音も自分でやらなければならないケースもあるでしょう。そういった場合、一般向けの色付けの強いスピーカーやヘッドフォンで作業すると、偏った音質になってしまう可能性があります。また、解像度の高いヘッドフォンでモニターすると、微細なノイズなどにも気づけるので、クオリティアップにも繋がる…かもしれません(笑)←気づいて処理できるかはみなさん次第です! どうしようもない場合は、弊サービス「おまかせMA」におまかせください!!(笑)

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